「花火ができる家」を建てるには?楽しさとマナーを両立するための住まい設計術 #column

夏の夜に、家族みんなで手持ち花火を囲む──。
そんな光景に憧れて「一軒家を建てたら、庭で花火を楽しみたい」と考える人は少なくありません。

でも、いざ実現しようとすると、「煙や音が迷惑にならない?」「通報されることってあるの?」と、不安に思うことも。

花火は楽しい反面、ご近所トラブルの原因になりやすい“注意が必要な娯楽”でもあります。

この記事では、「花火ができる家」を実現するために考えておきたいポイントや、トラブルを防ぐための工夫、設計段階からできる配慮について具体的にご紹介します。

◆この記事を読めばわかること

  • 自宅の敷地で花火をする際のルールや注意点
  • 通報や苦情を防ぐために押さえておきたいマナー
  • 花火を想定した庭づくり・住宅設計のヒント
  • 地域との関係性を保ちつつ楽しむ工夫

1. そもそも「家で花火」はOK?法律や条例の基本をチェック

自宅の庭や私有地での花火は、原則として法律で禁止されているわけではありません。
しかし、自治体によっては火気使用に関する規制が設けられているケースがあります。

【確認すべきポイント】

  • 市区町村の火災予防条例:特に火災が発生しやすいエリアや時期(乾燥時期など)は、火気の使用が制限されることがある
  • 花火大会の時期や時間帯の規制:自治体ごとに「午後9時以降はNG」といったルールがあることも
  • 管理組合・自治会の規約:分譲地や管理地では、住民間で独自のルールを設定している場合もある

→ 「自宅の敷地だから自由にできる」と思い込まず、事前に地域ルールを確認しておくことが大切です。

2. ご近所トラブルを防ぐには?苦情につながる3つの要因

自宅での花火がトラブルに発展する主な原因は、以下の3つです。

◆1. 煙とにおい

  • 花火の種類によっては大量の煙が出ることもあり、洗濯物への影響や不快感につながりやすい
  • 特に密集した住宅地では、風向きによって隣家にダイレクトに届くことも

◆2. 音と時間帯

  • 手持ち花火であっても「パチパチ」という音は静かな夜には意外と響きます
  • 夜遅い時間帯(21時以降)は「非常識」と受け取られるリスクが高まります

◆3. 火の粉とゴミ

  • 落ちた火の粉で芝生が焦げたり、ウッドデッキに焼け跡が残ることも
  • 使用後の花火を庭や道路に放置すると、不快感や通報の原因に

→ 花火をする際は、「自分が楽しい」だけでなく、「周囲が不快に思わないか」を常に意識することが基本です。

a person is holding a sparkler in their hand

3. 「通報されたくない」なら、始める前にできること

楽しいひとときを台無しにしないために、事前にできる対策は多くあります。

◆時間帯の配慮

  • 遅くとも午後8時台までに終わるようスケジュールを立てる
  • 小さな子どもの就寝時間を考慮し、早めのスタートがおすすめ

◆事前にひとこと声かけを

  • 隣接するお宅や日ごろ顔を合わせるご近所に「今夜、軽く花火をします」と伝えておく
  • 直接伝えにくい場合は、メモやLINEなどで軽く知らせるのも一案

◆後片付けの徹底

  • ゴミの処理はその場で。燃えカスや火の粉が残らないよう水でしっかり消火
  • 翌朝にもう一度チェックし、煙のにおいや燃え跡が残っていないか確認

→ ご近所との“信頼感”があるだけで、花火の印象も大きく変わります。

4. 「花火も楽しめる家」にするための住まいと庭づくりの工夫

新築時や外構リフォームを検討する際に、花火を視野に入れた設計にしておくと、後々の安心感が違います。

◆庭のスペースと素材選び

  • 火が落ちても燃えにくい素材(コンクリート・タイル・砂利)を採用
  • 芝生やウッドデッキは“火の粉対策”としてカバーや消火用バケツをセットに

◆水道の設置位置

  • 玄関先や庭の一角に外水栓があると、万が一の際も安心
  • 水をためたバケツをすぐに用意できるようにしておく

◆照明と防犯対策

  • 夜の花火に備え、庭に人感センサー付きの照明を設置しておく
  • 周囲に影響が出にくい“下向き照明”で、明るさと配慮の両立を

→ 「花火前提の家づくり」は防災・防犯面でもメリットがあります。

5. 地域とつながることで、花火はもっと楽しくなる

花火は家族だけの楽しみにとどめず、“地域で共有する楽しさ”へと広げていくこともできます。

◆地域の夏イベントを活用

  • 自治会や町内会で花火イベントがあるなら参加を検討
  • 個人宅ではやりづらい“音の大きな花火”も、イベントならOKなことも

◆子どもたちと一緒にルールを学ぶ機会に

  • 花火の前に「ご近所に迷惑をかけないってどういうこと?」を話す
  • 使用後の片付けを一緒にやることで、責任ある行動が自然に身につく

→ 「誰かの迷惑にならないか」を考えられる子どもは、地域でも愛されます。

◆まとめ

一軒家で花火を楽しむことは、家族の思い出づくりとして素晴らしい体験です。
しかし、楽しさの裏には“ご近所への配慮”と“安全確保”が欠かせません。

事前の声かけ・時間帯の配慮・片付けの徹底──。
この3つだけでも、通報やトラブルのリスクは大きく減らせます。

また、住宅展示場や外構の相談窓口では、「花火も楽しめる庭づくり」について具体的なアドバイスが受けられることも。家族で過ごす夏のひとときを、もっと自由に、もっと楽しく。
その第一歩は、思いやりある家づくりから始まります。